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税理士試験や公認会計士試験を受験することを目標にしておられる方から「簿記検定はどこまで勉強すべきか」という質問を受けることがあります。
どのようなアドバイスがよいか、何度も悩みました。
それらを本稿で、あなたと共有できればと考えています。
未学習だと不可能かというと、結論としては、もちろん、不可能ではありません。
各スクールでも、初学者向けの講義が、オプションで用意されていることが多いようです。
料金相場としては10000円程度といったところでしょうか。
もちろん、オプションなので、受講するかどうかは本人にゆだねられます。
また、講座の内容によっては無料でつけてもらえることもあり、それはスクールによってまちまちです。
では「可能不可能?」ではなく「現実的か?」という問いになるかと考えます。
私は「非現実的」だと考えています。
まず、受験生全体の現状を見わたしてみましょう。
一定数が簿記取得者であることは間違いないでしょう。
さらに、難関国家資格だけあり、学習内容は非常にボリュームも多く、スクールでの授業進度も簿記に比べハイペースです。
「当初の講座申込者のうち、どれだけが試験会場にたどり着けているのか?」ということを考えなければいけないレベルでしょう。
私自身も各種試験を指導しておりますが、申込者全員が試験会場までたどり着く試験は、まれです。
特に学習内容が高度になるほど、そして学習期間が長くなるほど、その傾向は顕著に表れ、最初の3か月でかなりの人数が音をあげます。
そのような状況を考慮すると、前提知識や簿記学習への慣れは多くて困るものはありません。
大急ぎで取得しなくてはならないのであれば、迂回している時間は無いでしょう。
しかし学びに関して、基本的には、「急いてはことを仕損じる」というのが私の考えです。
簿記2級→簿記1級→税理士・公認会計士のようなステップがあれば、仮に本命の資格が残念な結果であったとしても、簿記1級合格は残ります。
また、簿記1級まで学習を続けると、その時点で、あなたがホントに簿記が好きなのかどうかも、かなりはっきり見えてくることでしょう。
「導入が面白くても、深く入ったらきつくなる」というのは試験勉強ではありうることです。
それでも、ステップを踏んであれば、そこまでの資格はあなたの履歴書に残ります。
さらに、もしステップアップの過程で簿記が不向きであることが分かった場合は、他の資格の学習に時間を使いはじめることができます。
大切なのは、資格を取ることではなく、あなたが理想とする生活を送ることなのではないでしょうか?
もちろん、簿記検定で学んだ内容はそのまま税理士や公認会計士を受験することになっても、一切無駄になりません。
日商1級の範囲の知識は、ほぼそのまま、公認会計士試験に転用できます。また、税理士試験では確かに原価計算の出題はありません。しかし簿記1級まで学んだところで、それほど遠回りにはなりません。むしろ、1級の工業簿記や会計学を、税理士試験で簿記論や財務諸表論に活かせるというメリットの方が大きいと考えます。
確かに、試験科目に相乗効果が少ないステップアップの仕方については私も疑問を持ちます。例えば、社労士から司法書士というのは試験科目のかぶりもなく、単純に法律科目で択一式中心というだけの積み上げ方です。
しかし、簿記検定は1級まで取得しても税理士や公認会計士試験受験の妨げにはならず、むしろ試験科目上の相乗効果が非常に大きいものです。
したがって、時間が許すのであれば、可能な限り簿記検定の学習を積まれることを危機管理の観点からも是非オススメいたします。
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