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簿記を学ぶことでニュースがわかるようになる!

更新日:2024/11/11

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学ばなくてもなんとなくニュースを聞き流したり、新聞を流し読みしたりすることはできるはずですが、簿記を学ぶことで社会人としての情報へのアンテナが一段階高くなることは確実です。社会人として、情報の切り口は一つでも多く持っておいて絶対に損はありません。
例えば、今回はこの3つのニュースをご用意いたしました。それぞれの解説に、一定程度簿記を学んだ仮想の人物を登場させています。簿記を学ぶとどう見えてくるのでしょう?
ご興味のあるところから是非お読みください。

○○社の決算発表、売上高○円、営業利益○円、経常利益○円
派遣社員の費用は人件費に含まれない!〜私たちは人間じゃないのか。派遣社員怒りの声〜
企業は内部留保をため込んでいる〜不景気の中、一人勝ちの大企業〜

では、まずこんな見出し、よくご覧になりませんか?

○○社の決算発表、売上高○円、営業利益○円、経常利益○円

「株なんてやってないし」「儲かったことはわかるよ」といったコメントを聞くことがあります。確かに、新聞の企業情報は株をやっている方は昔からチェックする項目ではありますが、もう少しつっこみましょう。
簿記2級で学べる内容です。
では簿記2級のスクールに通われるAさんに登場していただきましょう。

:「そもそも営業利益や経常利益が主な情報として記載されるのはなぜでしょう?」
A :「授業で扱った内容ですね。損益計算書の仕組みから企業の本業のもうけにあたる部分ですよね」
:「その通りですね。他の利益である売上総利益や当期純利益ではどんな不都合がありますか?」
A :「売上総利益では人件費や経費が考慮されてないし、当期純利益では企業の活動で本業じゃない金融取引なんかが混ざっているから、利益を一つだけ記載できるなら営業利益か経常利益が一番かな」
:「ありがとうございます。」
さて、次の見出しはいかがでしょう。

派遣社員の費用は人件費に含まれない!〜私たちは人間じゃないのか。派遣社員怒りの声〜

一時、派遣切りという言葉が新聞紙上をにぎわせましたが、ご記憶にありますでしょうか。確かに人件費に含まれないというのは事実です。
では、簿記を学んでいるとどのような対応になるのか。簿記2級学習中のBさんと簿記1級学習者のCさんにご登場いただきましょう。

:「Bさん。まず、率直にこの見出しがあったらどう思われますか?」
B :「確かに、納得いかないですよ。人間が仕事をしているのに人件費じゃないなんて。工場のラインなら、モノづくりに関係しているから労務費で処理して、オフィスで事務作業をしているなら販売費及び一般管理費のうちの人件費に該当するんじゃないですか?」
:「心情的に納得のいく部分もありますね。ただ、今、大事なのは実際に人間扱いしているいないではなく、人件費で処理せず、経費で処理しているという会計上の話が本質であるというところです。Cさん、人件費と経費をきちんと区別することの意義はわかりますか?」
C :「損益計算書上、“販売費及び一般管理費”でも、内訳を確認する必要があるからじゃないでしょうか。簿記1級の試験範囲で附属明細表というのを習いましたが、決算期にわざわざ追加して作成するぐらいだから、人件費なのか経費なのかをシビアに、もっと言えば、その中でも何にいくら使っているのか、ということを明示するのは、情報開示という観点からも合理的だと思います」
:「さすが会計を一通り学んでいるだけあって、情報開示の観点も見えていますね。」
B :「だったら人件費に入れてあげてもいいんじゃないですか?」
:「そこは補足しましょう。人件費は雇用契約に基づいて支払われるものです。言い換えれば自分の会社はどれだけの規模の契約を結んでいるのかという情報を伝えるものです。派遣社員の方の雇用契約はどこにあると思いますか?」
B :「派遣されてお仕事しているところじゃないんですか?」
:「違います。派遣社員の方はあくまで派遣元である人材派遣会社との雇用契約があります。したがって、派遣先では経費処理されますが、派遣元でお給料として支払われ、損益計算書上、派遣元では人件費に該当しています」
さて、最後に、次の見出しはいかがですか?

企業は内部留保をため込んでいる〜不景気の中、一人勝ちの大企業〜

昨今の格差社会というワードとともに、新聞でご覧になった事があるかと存じます。さて、この記事、簿記を学ぶとどう見えるのでしょう? 簿記初心者のBさん、再度お願いします。

B :「この記事見たことありますよ。給料上がらないし、大きな会社はお金を貯めてどうしてるんですかね」
:「今、お金とおっしゃいましたが、財務諸表で言うとどの項目のどの勘定科目がため込まれていると考えますか?」
B :「え?資産の現金とか預金とか?」
:「そこですね。内部留保=お金ではありません。簿記で言うと資本項目の繰越利益剰余金です」
B :「てことはお金は持ってないんですか?」
:「貸借対照表の貸方の資本は必ず何らかの形で、借方の内容で保有しているはずですが、現預金とは限りませんね。簿記3級で学びましたね。BS貸方項目は必ず借方で運用形態が表現されていると。すでに建物や機械等の投資に回っています」
B :「会社の上層部がお金をため込んで札束風呂でウハウハというイメージではないんですね」
:「違います(笑)。確かに利益を出す過程で人件費に回されなかったのは事実で、そこに従業員として納得しにくいのはわかります。しかしお金があるなら内部留保を吐き出せと急に言われても吐き出すものがないのが現実です。」

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